不老長寿の薬菓子

昨年から英彦山の不老園を甦生して本草学を深めていますが、その不老長寿を今の時代に復古起新するために色々と試みています。今回はご縁あってカカオに注目してその効能などを組み合わせています。

今では薬ではなくお菓子として定着したチョコレートですがこれはもともと紀元前2000年前のメキシコでは「神様のたべもの」として非常に大切にされてきました。

もともと「カカオ」という言葉の語源はマヤ語の「カカウアトル」が変化したものです。

このカカオ豆は貴重で 赤道を挟んだ南北緯20度以内のアフリカや中南米、東南アジアなどで栽培されていますが実になる花の割合は200から300に1つしかとれません。とても効率が悪く高価になるのもそのためです。

このカカオは種子の果肉を食べるのですが、とても苦いものを苦いままにこのまま食べたり、焼いて煎ったりすりつぶしたり、水に溶かしたりして飲んだりしていたそうです。それがヨーロッパに伝来したときに砂糖を入れて飲むようになりました。いわゆるカカオドリンクです。その当時も大変貴重で裕福な人や王侯貴族しか飲むことができなかったそうです。

効能は、不老長寿、疲労回復、滋養強壮など多岐に及ぶといわれます。最近でもカカオの種子には多量のポリフェノールがあり強い抗酸化作用をもつ食品として注目されています。

新しい不老園に参考にしたのは、16世紀のアステカ文明のときにこのカカオ豆をドロドロになるまで溶かしさまざまなスパイスや香料と混ぜて「不老長寿の薬」として飲んでいたという伝説です。英彦山の不老園と共通するのは、あらゆる効能を含む薬草や種子を飲むという伝承があったからです。

現代では薬ではないカカオですが、先ほどのポリフェノールの他にもテオプロミンといった脳を調える効果があったり、食物繊維で肌荒れがなくなったり、ビタミンやミネラルも豊富でのどの炎症、胃潰瘍、食欲不振、解熱、デトックス、また恋愛ホルモンと呼ばれるフェニルエチアミンも含まれているのでまさに薬として観た方が効果があるように思います。

今の時代は、薬とお菓子の違いもちぐはぐになっていてむかしの人たちが本来どのようにそれらの食べ物を暮らしに取り入れていたのかも忘れ去られています。暮らしフルネスを実践するなかで、今の時代でも普遍的な意味が変わらないように変えるところは変化して今の時代の価値観でも本質が実感できるように宿坊とともに甦生させていこうと思います。

今度の英彦山守静坊でのサクラ祭りに初お披露目の予定です。

子孫たちへの誇りと先人たちへの配慮を忘れない温故知新の甦生を実践していきたいと思います。

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