食文化と伝承者

食文化というものがあります。これはその地域や場所で食べ続けられてきたものです。そこには地域特有の風土や人々の暮らし、そして採取できる食べ物の育ち方などで変わってきます。長い年月をかけて変化してきたのは、単なる気候風土だけではなくその関係性や組み合わせなど奇蹟に近いほどに一期一会のものです。

そして食べる目的も、薬としてであったり嗜好品であったりとではまた味も内容も異なります。

つまりはその食文化は、無数に無限に変化を続けて今に生きているということです。この今も、私たちは新しい材料や作り方や道具で変化して已みません。つまり今も食文化を創造し続けているということになります。

しかし何でも組み合わせを雑多にすれば食文化というわけではありません。その食事を食べるにもっともその素材を活かす方法があります。これこそが本来の食文化ではないかと私は思うのです。

その理由に、在来種の高菜をはじめむかしのお米で今、ちょうど新しい食文化を甦生させていますがやり方は無数に試してみても本来の本物の美味しい味がわかるまでに大変な苦労をしました。そのものの味がわかるというのは、そのものの素材の価値がわかるということです。

そのためには、その土地に住み、その風土で育て、共に暮らし、そして食べるというすべてを一貫して実践し通してみてさらに研究を重ねて気づいていくものです。

そういう気づきは、素材そのものとの向きあいになります。その素材を如何に大切に感じているか、そして尊敬しているかで食文化の原点に気づいていくのです。

時間をかけて醸成されてきた味の中には、大切な文化が伝承されています。その人々の思いや祈りや願いも入っています。これからも真摯に伝承者としての役割を果たしていきたいと思います。

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