場の甦生

昨日は、英彦山で武家茶道を体験しみんなでお茶を味わうお時間がありました。そもそもこのお茶というものは、太古のむかしからお薬として飲用されてきたものです。歴史を調べると、中国の雲南省で飲まれたという記述があったり『神農食経』には「茶若久服,令人有力,悦志。」とあり、 『華陀食論』にも「苦茶久食,益思意。」とあります。

薬用として、日常の暮らしの中で苦みのあるお茶の葉を飲む風習があったということです。この英彦山もまたお茶をつくり、お茶を飲んでいた歴史があります。宿坊の周辺にもお茶の木がたくさんあります。

現在は、鹿がほとんど食べてしまい鹿対策が大変ですが今後は増やしていこうと思っています。茶道を体験すると、その道具の豊かに感動するものです。茶碗をはじめ、棗、茶杓、柄杓、釜、袱紗、茶筅など一つのお茶をたてるのに様々な作法があります。その中でも、武家の茶道は武家らしくその人格や風格が顕れます。

みんなでその武家のお茶を体験して味わいましたが、同時に菓子きりを守靜坊の茅葺屋根を守っていた数百年前の煤竹を使って手作りしました。暮らしの道具を自らの手でつくるというのはとても有意義な体験です。

現代は、何でも機械につくらせていきます。機械がつくったものは確かに正確で綺麗にできます。見た目は機械でつくった方が良いものに見えるものです。しかし、人間が手作業でつくったものには味があります。この味わいというのは、その人の個性や人柄、人格がにじみ出てくるのです。

私たちはこの自分の手をつかって物を創り出してきました。そういう意味では、私たちはみんな藝術家です。そして自分で産み出してきたものは、唯一無二の味わいを放ちます。この藝の字の語源は、「埶」は「木」+「土」+「丮」の 会意文字 で、植物を土に植えるさまを象るところから来ています。そのものの才能をはじめどのように植えたものが育っていくかということも意味しているように思います。

自分というものを探し、自分というものを究め、自分というものを磨いていく。まさに徳を積むことで徳が出てくるという生き方のことです。

今年の最後を締めくくる仙人苦楽部として有難いご縁と機会になりました。これからも藝を磨き、活き活きした場を甦生していきたいと思います。

 

 

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