あと5日後にはスリランカ民主社会主義共和国に訪問します。このスリランカという国名はシンハラ語で「スリ=光り輝く」と「ランカ=島」で「光り輝く島」と呼びます。漢字では「錫蘭」と表記しています。かつて「セイロン」と呼ばれていました。これはサンスクリット語で「ライオンの島」という意味です。その名残が今でも国旗に表れています。
気候が日本とは異なり、最高気温が現在でも30度近く最低気温も24度くらいで平均湿度も75パーセント近くあります。人口は約2000万人ほど、日本との時差は3.5時間、また面積はは65,610平方キロメートルと九州の2割ほど大きいイメージです。国民人口の7割が仏教徒(上座部仏教)です。また国の花はスイレンの花、国の宝石はブルーサファイア、国技はバレーボールが有名です。
私がスリランカのことを深めるのに最初に知ったのが、世界一の親日家ともいわれるスリランカの二代目大統領ジャヤワルダナ氏の存在です。
本来、今の日本は韓国や北朝鮮のように戦後に列強国などによって分割統治される予定でした。それをすべて覆したのはその当時、スリランカの44歳の大蔵大臣だった人のたった一つの15分の演説でした。今の日本を救ってくれた本物の大恩人です。この演説がなければ、今頃私たちは日本国内で争いあい憎しみあっていたかもしれません。
そのサンフランシスコ講和会議での演説の映像が遺っています。
そこでは「私は2つの立場からお話します。1つはスリランカを代表して、もう1つはアジアを代表しての立場です」と言い釈迦の「憎悪は憎悪によってではなく慈愛によってのみ止む」を引用して会場の人たちに語りました。
そして「戦時中、スリランカは日本によって空爆を受け多大な損害を受けている、補償を受ける権利はあるが、私たちは賠償請求を放棄する。なぜかと言うと、私たちはブッダによって目には目、歯には歯という教育を受けていない。私たちは許す。他の国々もそうしませんか?」と呼びかけてくれました。
その言葉に会場の人たちも賛同して分割が免れたのです。
たった一人の言葉で、大きな決断が変わっていく。その人の心の言葉は、その後の子孫たちにも偉大な影響を残してくれました。これは釈迦の言葉が数千年を経ても、その子孫たちの生きる道に結ばれていることがわかります。
私たちは釈迦の言葉に今でも救われている存在です。
「人はただ愛によってのみ憎しみを越えられる人は憎しみによっては憎しみを越えられない」「Hatred ceases not by hatred but by love」
そのジャヤワルダナ氏は90歳で逝去されますが、形に遺るものは残してならぬといい何も残っていません。しかし、その生き方や生きざまは釈迦と同じく徳として私たちと生き続けています。
その釈迦の歩みと思想が遺る場所に足を踏み入れることは大変光栄なことと思います。色々な歴史を学び直して、改めて愛の意味を結んでいきたいと思います。