原初の智慧

アーユルヴェーダの博物館で学び、ここ数日は伝統医療の経験をしています。そもそも伝統医療は先人の智慧の結晶です。また地域地域にはそれぞれの地域で遺ってきた治療法があります。その土地でしかとることができない薬草や、場の力、そして経年の創意工夫と実験を繰り返すことにより得られた検証の成果があります。

例えば、ある地域には目に特化した治療法を伝承する場所があります。日本でも目薬の木があったり、ある岩窟の水が眼の治療に効果があったり、その土地にしかない特殊な治療法をかつて経験したことがあります。伝統医療は、代々その土地の人たちに口伝あるいは、暮らしの中で伝承されてきています。医食同源などもその智慧の一つで、その土地にしかない食べ物や調理法なども同様に伝統医療の一つです。

また師弟関係で伝承している治療法もまた伝統医療の一つです。そこでは特殊な能力や不思議な感覚を持つ者同士で施術をすることでできる治療だったりもします。

アーユルヴェーダには、ダンヴァンタリという健康長寿の神様、つまり医神や医父として大切に祀られている存在があります。この神様はヴィシュヌ神の化身として知られ神々へとアムリタ(不老長寿の霊薬壺)を運ぶため、乳海撹拌(ヒンドゥー教の天地創造神話)の際に誕生したと信じられています。

ダンヴァンタリの姿は4本の手があり、その手には霊薬「アムリタ」の壺、また医術が書かれた経典、法螺貝、刃のついた円盤、そしてヒルを持っています。これは治療に使う大切なものだといいます。霊薬は、薬草、経典はマントラ、ヒルも治療用ヒルで毒を吸い出します。 刃のついた円盤は外科手術の道具です。法螺貝は、波動です。ちょうど法螺貝を持ってきていたので治療の前に法螺貝を吹きましたがこの5000年以上続く伝統医療と法螺貝がとても深い関係があることを学び直しています。

スリランカに来てから、常に挨拶は長寿を祈る言葉を話します。長寿で健康であることこそ、真に豊かであることだと感じる場所です。よく考えてみると、暮らしフルネスの実践も全てはこの健康長寿に感するものばかりです。日本では、貝原益軒が養生訓においてその真の豊かさの価値を語ります。そして徳を積むこともまた、この健康長寿と真の豊かさを磨いていくためです。

古代の最先端の医療技術がこのアーユルヴェーダです。そもそも古代技術は古くて不便な技術と思っている人もいますが実際には宇宙創生のころからの奇跡のテクノロジーです。人体というものが出来上がる過程で創生されていますから原初の智慧が全て凝縮されているものです。

これを丁寧に伝承し続けて5000年以上前から続いていることに尊敬の念が湧いてきます。私は英彦山とご縁があってから、様々な伝統医療、本草學に興味が出て深めていますがそのルーツはこのアーユルヴェーダではないかと感じます。

今回の体験からその原初の知恵を氣づき直していきたいと思います。

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