空白の解明

昨日は、スリランカの伝統医療の先生の実践とお話をお伺いすることができました。この先生は、ビジネスで医療をするのではなく全て布施により治療をされておられます。日本のむかしもお医者さんというのは、お金を取っておらず藪の中に住み無料で困っている人を助けていたといいます。年末年始に治療を受けて健康になった方が御礼にお布施したということが文献にありました。スリランカでは、今では日本では存在しないようなかつての仕組みで医療を実践するお医者さんがいるというのに感動しました。

佇まいは穏やかで聖者のようで、真心を籠めてご家族で私たちを歓迎してくれて色々と伝統医療や薬の作り方からその取り組みの姿勢、伝来の秘術まで惜しげもなく見せてくださいました。

この伝統医療のお医者さんは12代目に入り、先祖から伝来する書物や道具を受け継ぎ今も同じように薬を調合し診察し治療を続けています。まだ34歳という若さでしたが、仙人のような喋りと祈り方で深い安心がありました。

まずダナワンタリという医神に祈り、薬をつくる場所を清め調え、真言を唱え、方位を定め、すべての五大要素の力が入るように丁寧に道具を置いて牛乳や油を入れた銅の壺に薬を調合していきます。火はシナモンの木のみを用いて最初に30分ほど強火を入れたらあとは弱火で7日間かきまぜて薬草のオイルを生成していきます。すべての精霊が壊れないように手作りで丹誠を籠めてつくります。この様子を見ているだけで、この薬がいのちの甦生に大きな効果を発揮するのは容易に想像できます。

現代の西洋医療は成分のみを科学的に分析して、毒を持って即効性があるものを中心に処方します。しかしこの伝統医療は、根源治癒であり自己免疫のバランスを調えなながら病気そのものを中和して根源的なものからじっくりと治癒していきます。

一つ一つの薬草を採る時にも、丁寧にお辞儀をしてお祈りをして分けていただくように関わる姿に私たちは病気に対しても傲慢になっているのではないかと感じる機会になりました。

私たちの身体はどうやってできているのか、そこにはお水や土や植物や火などあらゆる元素が組み合わさって形成しています。その形成しているものの絶妙なバランスによって身体も維持しています。健康であるというのは、それだけ調和が保たれているということですがそこに対する感謝や謙虚さというのは忘れているのではないかと思います。

病気に対しても、その病気が発生した元を辿れば分けていただいているものへの感謝があるはずです。AIなどでもしもこの肉体がいらなくなったとして、私たちはこの肉体を捨てていくでしょうか。私たちの肉体は多くの元素が自然に絶妙に調和し、様々ないのちを吸収し記憶をもって生きています。細胞にも個性があり、心身も唯一無二です。

最後に薬膳料理をはじめ伝統的な揚げ菓子、そして仏陀が悟りをえるときにスジャータから供養していただいたというミルクライスをいただきました。スリランカに今でも息づいている宇宙創生の神話からの霊薬アムリタ、仏陀が悟る前に施していた様々な伝統医療、そしてその初心、とても深い學びをいただきました。

この學びを子どもたちに伝道伝承していけるように帰国後は実践によって恩返しをしていきたいと思います。ずっと探し求めていた仏陀の道、そして医食同源の道、真心の道、暮らしの道、すべてがスリランカのこの10日の滞在で結ばれて空白が解明しました。

仏陀に見守られた西遊記のような旅でしたが、真理は持ち帰ってからが本当の旅です。これからの新たな巡礼を英彦山から新たに復古甦生していきたいと思います。

ご縁を結んでくださった方々、偉大な見守りに心から感謝しています。

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