昨日は、今年最初の聴福庵でのおもてなしの一日になりました。古民家は経年変化がとても豊かですが同時にお手入れする機会も増えていきます。修繕をすることで益々善くなっていくのですが、その分、修繕の工夫も産まれます。
そもそも改善するという意識は、目的を忘れないための大切な伝統です。伝統ということはそれだけ生き方を磨いてきた先人たちの遺徳を感じる機会になります。
例えば、汲んできた井戸水を鉄鍋で時間をかけてじっくりと炭火を入れていきます。御出汁は、お野菜や昆布などで丁寧に引き出します。心を離さず、素材やいのちが活かされるように手を入れます。和食というものは、道具たちを観てもすぐにわかるように全てのいのちを調和させていくプロセスのことです。まさにこれも伝統であり、生き方です。
私たちの伝統文化というものは、全て先人たちが大切にしてきた生き方のことです。伝統文化が消えていくというのは、生き方が消えていくということでもあります。
この生き方というのは、人生の目的のことです。
何のために生きるのか、それを真摯に向き合っていくその人の道のことです。それがずっと長い間、人の間で継承され磨き上げられていきます。それを徳ともいいます。この徳が積み重なっていくことは、生き方が積み重なっていくことでもあります。
私たちはそれを職業としての仕事でしなくても、日々の暮らしの中で実現していけます。日本人の本来の暮らし方は、生き方であったともいえます。
時代が変わっても、大切な生き方は変わらないで子孫たちに道を伝承していきたいと願います。伝統文化の真価を、日々の暮らしの実践でこれからも伝道していきたいと思います。