正直

私たち日本人の大切にしている徳目の一つに正直というものがあります。この正直さというのは、自分に心に正直であるということです。心には嘘はつけないものです。自分の心が素直に感じたものを正直に取り組むということです。

人間には理性や感情もあります。心のままにといっても、それは我欲のままにということではありません。心と欲望とは異なるものです。大欲に無欲に似たりという言葉もあります。無欲さというのは、心の大きさで物事を考えているということでしょう。

心はいつも全体を観ているものです。心が感じるときは、その心に我欲は混じりません。心は素直に自然全体や宇宙全体の理と合一していきます。よく神人合一という言葉もありますが、あれは心のままに自然体になっているということです。これを無我の境地ともいうのかもしれません。

例えば、霊験なお山の場に入り静かに自然と和していると心が調っていきます。その時、正直さというものは磨かれていきます。自然はそれだけ正直であるということです。海外からは神道は古代からのアニミズムとも呼ばれますが、いのちを尊ぶような生き方は正直さの実践によって成り立ってきたのでしょう。

長い歳月を経て、正直さを磨いてきた私たちの先祖は自然に寄り添って自然に近づいていったように思います。自然と一体になればなるほどに正直に生きていくことを学びます。自然から離れれば離れるほどに不正直、欺瞞、嘘が増えていきます。そして心が消失して我欲に呑まれます。我欲を抑えることを理性ともいいますが、本来は心を大切にしていれば理性は必要ありません。

自然から遠ざかり人間社会のみで生きるようになったからこそ心を見失ったような忙しい生き方をするようになりました。心がなくなると人は元氣がなくなります。元氣を甦生するにも、自然から心を学び直す必要があります。自然のなかで正直であることが人を元氣にするのです。

今こそ、私たちは原点回帰して自然と和し正直の徳を磨く時機です。

英彦山、守静坊にはその元氣の源泉場があります。

子どもたちや心を見失っている人たちが元氣になるようにこれから創意工夫していきます。

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