家の問題

昨日は久しぶりに古民家の解体現場に立ち会う機会がありました。200年以上前から存在する家は、大黒柱をはじめ屋根の梁もしっかりしていてあと数百年は大丈夫なうらいの頑丈で健康的でした。しかし何らかの事情で住めなくなり解体ということになりました。

もともと今でも古い民家が残っている理由の一つに固定資産税のことがあります。土地だけ維持するよりもそこに家があった方が今までは税金が安くなりました。空き家が多いのも壊さない方がメリットがあったからです。

しかし法が改正されこれからは変わります。先を見越して解体したりリノベーションしたりとこれからこの空き家問題は少しだけ動きが出てくるように思います。

ただよく考えてみるとそもそもこの空き家問題は何かということを向き合う必要があります。

経済を発展させるという名目でお金を増やし、そのことから自然破壊を繰り返し、森や川や海を壊し、平地の田畑を住宅地にして新築を建てまくってきました。数多くの住宅ローンを組ませ国家のGDPを上げていきました。この国家のGDPとは国民の借金の数値ともいえます。

住宅は一般人にとっては一生に一度の大きな買い物です。その借金を返すために働き続けているともいえます。その割に、大体30年から40年くらいで家も劣化して建て直したり引っ越しを繰り返します。ローンが終わったころにまた再ローンをするのです。ローンが組めなくなった人たちは、その家を離れていきます。それが空き家になるのです。

むかしは家は末代までとし、その家に住み地域で暮らしを営んで継承してきました。子どもたちはみんな都会に吸い上げられ、都会のマンションやアパートなどの密集した住居に入り一生そこで働きます。収入が得られたらまたそこで住宅ローンを組みます。タワーマンションなどは、狭い土地に多くの住居を入れることで利益を出します。しかし老朽化していくその建物の寿命は150年以上前の古民家とは比べ物にならないほど劣化が早いものです。

昨日、解体のものを観ていたらどれも長い時間用いるものばかりで溢れていました。梅干しの甕や精巧な桐箪笥、床の間に使われている木材などは1000年以上持ちそうなものばかりです。それを2日で大型機械で解体してしまいます。良いものも悪いものも関係なく、全部大型のゴミ袋の中にいれて廃棄です。大型クレーンと大型シャベルで上から叩き割っていきます。当然、木材も一緒に粉々です。

数百年、数千年になる歴史はなぜ失われたか。

これは核家族化の問題でもなく、地域に仕事がないからという問題でもなく、人口減少だからという問題でもなく、住みにくく不便だからという問題でもありません。

これはすべて近代の「貨幣経済」を利用し、一部の既得権益者のために仕組まれた物質化と分断、自然の循環を無視した虚像社会によるものだと私は思います。

既得権益をやめない限り、それは失われることはありません。自然はもともとみんなで共有してきた大切な財産であり、みんなで自然と共生しあって暮らしてきました。そうやって自然と人間とが助け合い、自然と寄り添い生きてきました。自然と見守り合い続けてきたからこそ、今まで生き延びてこれたのです。

家の問題は、本当は何か。

よくよく家とは何かを見つめ直して、子どもたちに原点回帰を伝承していきたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です