伝承の場

今日は、仙人苦楽部で高菜漬物の伝承の場を主催します。伝承の場というのは、一期一会で伝える人と承る人の一生に一度のいのちの移し替えの場です。それまでの自分が醸成してきたいのちを、次に結んでいく場です。伝える側もその瞬間に懸け流し込みますが、承る側もその瞬間に全てをくみ取るのです。これはコップからコップへと液体を移し替えることに似ています。

その液体を受ける人は、こぼさないようにと真剣に自分のコップを持って受け止めます。一つのコップの大きさでは受け止められないときは、コップの数を増やします。器が大きければ、それだけ液体は受け止められます。小さくても、その受け止めた器の分の大切なお役目を入れることができます。小さなコップをみんなで持てばそれだけ、分散して液体を受け止められます。

その受け止めた液体は、またそこから丁寧に醸造され発酵してますます芳醇になります。それを今度は、また次の伝承者に譲り渡していくために伝承の場が必要になるのです。

むかしは家庭環境の中で、あるいは共に暮らす師弟関係の中でその伝承の場は設けられていました。そこではいのちの移し替えを、一気に行わずに少しずつ丁寧に行われていました。

今ではその機会も減り、伝承の場は猛スピード消えていきました。しかし、世の中には志を同じくする仲間がそれぞれの場で真摯にその伝承を守りたいと精進しています。その仲間たちを集め、その仲間が伝承のいのちの移し替えを行う場においてコップに液体を受け止めれる分だけ伝承されたらそこからまた液体は次の世代へと弘がっていきます。

この伝承の場は、伝承に相応しい純粋性が必要になります。それはまるで神事のような清らかさと潔さがあってこそです。

これからも受け継いできた光を、次世代へ譲り結んでいくために伝承の場を続けていきたいと思います。

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