世界市民

昨日は、JASのトップコンサルタントのヒュバート氏と同行してイエナプランを行う学校へ視察を行った。

この学校とのかかわりは、4ヶ月前にオランダの教育監督庁から職員の資質や学力の低下傾向があることを指摘され(だいぶ本質は異なるが日本では第3者評価機関のようなもの=日本のものよりも道理が子どもや社会に適っている物差しでの評価)即座に改善することが求められ、その学校の校長から「もう一人では改善は難しい・・」とJASが直接ヘルプを請けて学校を新生するコンサルティングを行っているとのことだ。

そこでは教職員間の人間関係や、現場の共通理解不足などどうしても学校現場で起きる様々な人的環境ストレスをどう整理していけばいいかや、そもそものマネージメント上の問題、また既存の刷り込みなどをJASがイエナプランのツールを用いて洞察分析して、適切なアドバイスとパートナーシップ、リーダーシップを発揮して子ども中心の教育ができるように支援していっているとのこと。

まず話を聞くと、そこでは校長が職場の人間関係や教育や保育の悩みに対して具体的な発想ができずいろいろとやってみてはいるもののうまくはいかずに孤独に精神的に疲れていたものがだいぶ落ち着いてきているとのこと。

それにいろいろと関係がうまくいかずに問題になっていた教職員が毎週水曜日に終日をかけていろいろと問題を解決するためにファシリテーションすることでJASのコンサルタントの方へ閉ざされていた心を開き周囲も本人も少しずつ変わってきて今ではとても雰囲気の良い学校になってきているとのことだった。

私が伺った時も、コーヒーブレイク中でそれぞれがゆったりしていて日本での保育事情などを私とそれぞれで話しながら如何に業務省力化と子ども中心をやっていくのかについて楽しく議論などの話をした。(ドイツだけではなくここオランダでも見守るソフトとプラスを紹介すると大変現場からは好評だった。)

これは日本でも私たちカグヤが現在取り組んでいることと同じで、どうしても子ども中心に園をよくしていこうとしたら今までのいろいろな外部の圧力や刷り込み、またそういう考え方に触れて学んでもいない人たちへそれぞれの発達や状況にあわせてコーチングや援助をしていくようなものが必要になるのだろう。

一昔前のようにできないものを立て直すという企業的なコンサルティングよりも、一緒にゴールに向かって寄り添いながらパートナーシップで関わっていくという21世型の成熟した共進関係を創ることがJASでもカグヤでも取り組んでいる目下の課題になっている。

世界でもどこでも学校という現場は、どうしても先生だけですべてを抱え込もうとすると無理がある。なぜなら、外に出る機会も少なく、一部の限られた環境の中で様々な大きな課題に向き合い、子どもの最善の利益のために時間を相当工夫しながら自分の人生も豊かなモデルを示していくとなるとそれはもうとんでもない創意工夫や環境の整備が求められる。

現実問題、それが自校や自園だけでやるなんていうのは私たちから観るとほとんど不可能に近いのではないかとも思える。それだけ難しい理想の高い仕事が保育であり教育なのだと思う。

やはり世界ではこれからどうやって学校や園と企業、いわゆる新しいカタチでの産学連携を行っていくかは少子高齢化と価値観の多様化する急進的に成熟化している人間社会においては必須になっていくのだろう。

日本人はどうしても、上下関係の刷り込みや、年齢や経験歴の刷り込み、男女の刷り込みや、曲った平等の刷り込みなどのせいで人間として協働でパートナーシップを結んで何かをともに行うというのが苦手なのだと思う。

本当に効果的で発展的な自由闊達な幸福感に包まれた螺旋成長できる組織とは、社長と社員や上司と部下というようなタテ割的な短絡的な封建ぽい思想ではなく「フレンドリーだけど心から尊敬し認めあっているパートナー」のような深い信頼関係をどれだけきちんと構築できるかによるのだと思う。

それは揺るがないシンプルな理念を中心に造っていくしかないし、それをするためにともに働く仲間としても遠慮忌憚なく言いたいことはフラットにどんどん言い合う「お互いが自立している本当の関係」ができていないと、また作ろうとみんなでやっていかないと助け合い支えあう本質的な共生ができないのだと思う。

やはりチームの本質とは、理念を中心に仲間と本気でぶつかり合い、本音で遣り合い、価値観を共闘しながらもそれぞれのもっているその人らしさやミッションを融合統合しながら唯一無二の叡智を引き出していくものだろう。

人は一人では生きてはいないのだから、まさに誰かと何かをやることでしか本当の自己実現も成功も手に入らないのだから、そういう上質なコミュニケーションを取れないと世界でも通用する一級の人材とは言えないのだと思う。

オランダはとてもフラットでストレートな文化を持つ一人ひとりが国を造っているという自覚と自己責任による決定意思を重んじて個々の自立を尊重する素晴らしい国。

日本もなんとなく依存と無責任に塗れた閉塞感ある社会から脱却していくためにも、自ら律して自らが立つという大人のモデルを示していくことが次世代の子どもたちへ素晴らしいものを推譲できる今後の基盤になっていくのだと思う。

まだまだこの国で観て聴いて帰るものはたくさんあり世界標準ということがどれだけ世界の中の世界市民の一人として大事なのかを定義するまでしっかりと議論していきたいと思う。

今日は、イエナプラン学校でのJASのトップコンサルタントのビデオコーチングの現場視察する。

  1. コメント

    日本ではどれくらいの人が自分たちの国を自分たちで作っているという意識があるだろうかと考えると、やはり多くの人が自分には関係ない、誰かがやってくれるだろうという考えなのかと思います。
    周りの人に依存を行い、自分には責任を持たずに生きていくことが楽な道という誤った認識をしているのだと感じます。物的なものだけをみれば確かに裕福な国かもしれませんが、やはり心は裕福ではないと改めて感じます。その中でもやはり一人ひとりの自立が大事だと言う事を感じます。自分たちの国であれば、自分たちで作り上げる事が当然という風になる為にも生きると言う事をしっかりと考え、自立と言うものを大事にしていきたいと思います。

  2. コメント

    自分の仕事と抱えてしまうと、どうしても職人気質になり、一人だけで進めてしまう。
    周りと関わる時間が少なく、話を行うことが出来る環境がなく関わって進むことが出来
    ずにいてしまうと途端に閉塞感を自分でも気づくことも出来ず、陥ってしまう。
    これは世界でも共通することである事を実感します。何でも話していいという環境と
    ファシリテータの存在、その場が形成され、温かくも穏やかな環境があるからこそ、
    問題も出し合うことが出来ることが出来ると思うと、如何にその環境を用意し、
    相手の事を引き出すことが出来るのか、そこには自分自身がもっと相手の立場になり、
    本当に困っていると言う事を身を持って理解していくことを実践し、救うことが
    出来るようにしていきたいと思います。

  3. コメント

    世界(オランダ)も日本と同じように保育の悩みがあることに気付き、見守るほいくが海外でも通用するという本当の価値に気付けていませんでした。
    初めて見守るほいくに出会った時に、「これはすごい」「保育士の時に出会っていたらどんなに良かったか」という気持ちは今でも忘れていません。
    見守るほいくに出会った時の感動と思いをより多くの人に伝えたいと思います。
    また、日本の子どもたちだけではなく、世界の子どもたちを救える人間になるために、まずは自立をしていきたいと思います。

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