古き善きものの心~美学~

先日、表参道にある無印良品社理念の発信店、「FOUND MUJI」にいったときに、そこで紹介されていたドイツのMANUFACTUM社のスコップを購入しました。

不思議なご縁で、先日からドイツをふり返っているからドイツ製のものばかりがまだ気になっています。人の意識というものは、心に何を置くかで拾ってくるものや集まってくるものが変わってきます。どんな問いを日々に心に持つのかで人はすべての情報を取捨選択したり収集したりすることが可能になるのです。

持ち続けるというのは、一つのことを念じ続けるとも言います。どんな目標や夢を念じ続けるかでその人生というものは大きく変わっていくのです。人生の夢というものは、そうしたいとそれをやりたいと思って積み重ねて行動し体験した量で決まるように思います。

さて、ドイツのそのスコップですがとても本質的に制作されていることが使ってみるとよく分かります。つまり使うと感じるのは何のためにそのスコップを使うのかを明確に定義し余計な機能はそぎ落としたり、また大事なところは強くし、人にも周囲にも優しい設計であるのが観えるからです。つまりシンプルです。シンプルなものというものは、よく精査洗練されていて本当は何かというものが考え抜かれているからです。

そしてなぜドイツではこのような道具や物が生まれてくるのかということへの気づきが大切です。つまり、それは幼少期からどんなものに囲まれていたかというもので決まるのです。前回のドイツ研修の写真を眺めていたらその道具への精巧さだけではなく、意義やその意味、無駄なものがなく本質的によく考えられたものが子ども達の傍には置かれています。

歴史や文化にも、古き善きものをいつまでも大切にして活かそうというその思想が根付いていて善き製品を生み出しているともいえるのです。ものを大切にしていく人は、そのものがどうやったら長く活かせるかを考えます。つまりは自然です。自然でできたものがもっとも長く用いられることを知っているからです。

そしてこの自然というものは、心が自然から学んだものでありそれが国土や其処での暮らしの生き方になっているのです。

ドイツでは、子どもの頃からものを大切にすることを周囲の大人をはじめみんなが意識しているような環境があるからそういう道具が生まれるということです。ものを大切にするという理念は、ものが溢れるからこそ余計に大切にしていかなければなりません。

最後に、その「FAUND MUJI」の白い壁面にその理念が小さく書かれていたので紹介します。

「簡素が豪華に引け目を感ずることなく、その 簡素の中に秘めた知性なり感性なりがむしろ誇りに思える世界、そういった価値体系を 世界に発信すれば、もっと少ない資源で豊さを謳歌できる」(田中一光)

ものが溢れる時代だからこその物を生み出す者としてのアンチテーゼとし敢えて果敢に挑戦しているという意味では、大きなインスピレーションを得ました。

今回のドイツの環境から気づき探り取ってきたものをこのスコップで掘り起し、日本の子ども達のためにこれらの視点を取り入れた環境づくりの実践をしていこうと思います。

  1. コメント

    持ち合わせるものはもの・思想にしてもその人を表し、目に見える形のものは持ち主の空間のデザインも含まれているのだと思います。シンプルなものに惹かれるのは、ものまたは思想に対してなのか、生き方を投影する本質的な暮らしのデザインを近くにおいていきたいと思います。

  2. コメント

    「簡素が豪華に引け目を感ずることなく、その 簡素の中に秘めた知性なり感性なりがむしろ誇りに思える世界、そういった価値体系を 世界に発信すれば、もっと少ない資源で豊さを謳歌できる」
    という言葉に、見守る保育やソフトとの共通点を感じます。また、「井の中の蛙 大海を知らず しかし天の深さを知る」という言葉に通じるように感じます。どんなに豪華で多岐にわたる用途があっても本質でなければ、天に通じていなければ、時間やお金を持て余すばかりだと感じます。掘り下げて自然とつながる感覚を見つけて行きたいと思います。

  3. コメント

    私も実際にお店に行った際に、変わらぬ思いがそこにあるという事、何の為にそのお店が存在しているのかが表現されているのだと気づかされました。理念を形にして守り続ける事の大切さを感じます。又同時に、いかに伝わりにくいものを伝えて行くかも課題だと思います。実践してみる事や使ってみてから感じる事もとても大事だと思いますが、そういうなる為の導線も大事だと感じます。

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