本気のエール

昨日のある園の面談で、若い職員が自分の人生はもっと他にいい場所があるのではないかという相談を受けました。

若い時は、焦りからもっと他の道があるのではと選択肢ばかりを模索し浮き足立っていたものです。もちろん、その年齢での葛藤があることはそれ自体が成長している証でありそのままでいいと思うのですが人はそれをどのように通過するかで、同じような体験の気づきを他人に伝えることができるように思います。

発達というのは、真剣に取り組んだものだけがその通過の価値を知るように思います。

昔を思い返せば、子どものときに身に着けた自分の好き勝手な価値観で生きてきたものが在る時、社会に出ることで自分の思っていたものとは違うと感じることでその当時の今の自分を信じることができなくなったりしたものです。

私の場合は、留学から就職、すべてに自分の価値観を揺さぶられるような実体験を通して、人は価値観がそれぞれに異なる中で生きていて自分次第でいくらでも幸せになるのだと気づき、自分を無理に通して頑固に生きるよりも、どの業種業態であろうとも自分がどのような価値観を持って今を生き切っていくのかという判断基準を得たように思います。

そうして自分で考えるということをはじめたら、今までの学生時代のように誰かが与えてくれて用意してくれた中で自分勝手にいるのではなく、ちゃんと社会を見回して自分が何を遣り切ることが社会のためなのかと自分で考えて行動していかなければなりません。それは自らの足で自らの定めた目標に向かって自らに課題をかしてしっかりと日々を歩くという体験をすることのように思います。

道に迷う時は、その場所をより深く、より強く歩かなければならないと思います。それは自分に向いているとか向いていないとか、そういう外側の判断基準で信じるか信じないかではなく、自らが自らを信じるという覚悟を定めることに似ています。

過去も今も、誰にせよすべての人生には一切の無駄がなく、今、学んでいることはとても自分の成長にとって常に大切であるように思います。そしてどの今の瞬間を切り取っても必ず大切な意味が潜んでいると信じて、全身全霊で一心不乱に正直に取り組んでいくことで自分で考えなくても自然に自分の未来への道は開けていくように思います。

比較競争の中で育てられれば、選択肢が多いからや、情報が溢れるからなどという理由でいつまでもあれがよかったのではないかとか、本当は自分はこれがしたかったのではないかとか、向いていないのではないかと理屈や言い訳ばかりを並べては自分のことばかりを心配して悩むものです。しかし自分で決めたかのように見えるこの道も、本当は目には観えない有難いご縁で天が与えてくださった自分にしかなできない成長していくための唯一無二の機縁であるのです。

全てを受け容れて、今を肯定することは、自分に自信を持つことにつながっていくように思います。これでいいと思えるためには、これでいいと思えるほどに悔いがないように迷いなく今与えられている環境の中で真剣勝負を続けていかなければなりません。

昔、尊敬するあるコンサルタントに迷った時にいつも諭された言葉があります。

「理屈はいい、本気になれ、本気であればそれでいい」と。

本気になれば本物になり、本物になれば一人前になっていきます。「自分が本気かどうか」は、世界でたった一人の自分を生き切っていく上で最も大切な価値基準であろうと思います。

自分と本気で向き合い、本気で対話し、そして本気で信じる事から人は正しく成長していくのだとエールを送ります。

  1. コメント

    他人が用意した選択肢から選ばされている間は、どこかにある正解が気になり、本気になることは難しいでしょう。与えられているすべてを黙って飲み込めて、初めて「選ぶという生き方」をやめ、「自分独自の生き方」を覚悟できたように思います。

  2. コメント

    言い訳も理屈も自分のことでなければいくらでも並べられますが、自分のことになると重くのしかかってくるのを感じます。感情的には反省の方に向きますが、言って頂いた一つひとつが気づきであり、自分のことになった時に改めて学ばせて頂くことの多さに気が付きます。今回の機会が福となるよう、自分の足で学びに行きたいと思います。

  3. コメント

    自分自身の価値観や行動や与えている影響などは中々客観的に視ることが出来ず、むしろ見たくないことは見ていないことを痛感します。自分自身を振り返る時、まさに物差しとなるのは価値観ややったことではなく、本気かどうかが間違いのないところだと感じます。何が出来ている、何を守れている、どんな価値観を持っているという物差しも、実際は本気でなければただの道具でしかなく、本体が本気でなければ錆びて間違った道へ誘導されてしまうのだと自分自身に危機感を感じます。常に、その本気さも、矢印を外に向けるようではなく外も中もない穏やかで明らかな本気さを掴み取って行きたいと思います。

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