身近な自然に身をゆだねているとふと不思議な感覚を覚えることがある。
例えば、そこには眼には見えないように何もないのだけれど確かに何かがあると感じるようなものがある。
ひなたにぽかぽかと穏やかな優しい時を感じたり、肌をすり抜ける微風に心地よい和らぎを感じたり、空高く碧い光と大きな雲に元気さを感じたり、雪の積もった深々とした静かな夜に月の光が差し込んでくるのに時が止まったようた鏡の心境を感じたりする、まだまだたくさんあるけれど身近な自然に溶け込み身を委ねると自然と一体になっている自分がある。
ないようにみえてあるものとは、私たちはきっと自然の雄大で悠久な流れに従って応じては変じていく生き物であることを思い出させているのであろうとも思う。
土を触れば土になり、風に触れれば風になる、水に入れば水になり、森に踏み入れば森となる。
身近な自然を感じるというのは、私たちが何もしないなかに確かにあるものを感じる事であったり、日頃から感じているはずの感覚を取り戻すことでもある。
若い緑の草原で自分が寝ころび風がそのすぐ上を駆け抜けていくことや、森の中の木漏れびと清流にひんやりとした澄み切った空気を深呼吸するとき、私たちは自然と一体になっている。
自然を感じるということは、そういう感覚に身を委ねることであろうと私は思う。
そうしているうちに心が無限の叡智と知恵を交わし、いいしれない融通無碍な無心を覚えるのであろうと思う。
自然というものを心にいつも修めていくことは、あるがままの幸福に生きるということでもある。自然を内包することができるということは、素直でいるということでもある。
どんなに日々の喧騒があり、気忙しく流れていても心はいつも自然に委ねるように生きていきたい。
子ども達には、身近に感じるあるがままの感性を自然と一体になって学べるような環境を用意していきたい。まずは自分から自然の流れに身を委ねていきていくことを示していきたい。