ここ数日、社會に関することを書いていますがそもそも社會をつくる仕事とはどういうことかということを掘り下げてみます。
そもそも社會というのは、人間が一人以上存在する中で成り立つものです。もし無人島に一人で生活するのなら、別にそこに社會は必要ではありません。当然、生きていくためには人間以外の生き物たちといきていきますから広義でいえばそこにも社會はあるとしますが今回は人間社會ということにします。
つまり人間が一人以上になれば社會を形成しますから、社會を形成するというのは人格を形成するということです。人格を形成する必要があるのは、そこに道徳がなければお互いを尊重し合うことができなくなるからです。道徳とは自然の一部である自覚のことです。
先ほどの無人島であっても、人間がもしも道徳から外れるならば島にあるものを全て殺傷し搾取し、あっという間に島の生物たちが死滅してしまいます。そうするとその人間も終には死んでしまいます。そこに人格が形成されれば、社會を活かそうとし周りを助けて自分も共に生きて貢献する道を選んでいくはずです。そうすればお互いに長くその島で幸せに暮らしていくことができます。
このように社會を形成するというのは、その人格を形成するということです。そしてこの人格形成というものが私にとっては教育の本義です。教育とは社會を形成していく人材を育てていくために行うものでしょう。つまり見守る=保育に対して、人格=教育というのを根底に持つのが本来の日本人の民族性からの言葉の意義でしょう。
それを忘れていくら難しい議論を戦わせても、結局は欧米文化の枝葉を揺さぶっているだけで自分たちの持っている日本人の精神を活かしているわけではないのです。
話を戻せば、社會というのは道徳によって行われるときもっともお互いを尊重し合う平和で豊かなものになります。そのためには、人間から道徳をどう引き出していくか、道徳をどう高めていくかということが基本になるように思います。
孟子は、惻隠の情といって人間はもともと善であるという言い方をしました。この善は善悪の善ではなく、そもそも天が与えた天性と天命を持っているという意味での善であると私は定義します。
そういう天の化身が人間なのだから、天の真心を持つ人間から道徳を引き出していけばいい、政治はそうあるべきであると説いているように思えるのです。
だからこそ如何に道徳を引き出していくかは道徳を教えることではなく、その人を信じて見守りその人の善いところを認めて褒めて表彰していくことのように思います。
二宮尊徳は、徳に報いるという言い方をしました、報徳のことです。人間には誰にしろ必ずその心身に徳を享受されている。その徳を引き出し報いようとすることに社會の社會たる価値があるのでしょう。
如何に社會に徳を引き出していくか、ここからが新たな挑戦です。
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その人に備わっている徳を引き出してあげることは、ほんとうに大事であると思います。それを、日々の仕事のなかで実践できれば、「働く」ということの価値がうんと高まるでしょう。また、「徳を摘む」と言いますが、この「積む」ということをもう少し意識する必要があるかもしれません。「徳が徳によって報われる」という世界をもっと確かなものとできるよう「徳積み」を続けていきたいと思います。
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震災の際略奪がない、順番を守る等世界から称賛される報道を目にしましたがもともと持っているものが引き出された例なのかもしれないと改めて感じています。自分自身はどうかと振り返ったときに両親から人格を形成されたかと言えばそうとは感じず、日々の姿から一つひとつ説明を受けなくても自分自身で規範の判別をしていたように思います。子どもに携わることは本当に幅広い学びが必要なことを感じています。実践して感じたことを今後は体系づけられるよう、さらに学びを深めていきたいと思います。【○】
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以前は子どもに対して道徳と言うものを教え伝えようとしていましたが、最近ではもっとシンプルにお互いを思いやることを感じてもらえればそれでいいよいに思っています。子どもは純粋であり善であると感じるたびに、こちらが学ばせてもらっているという感覚も強くなりました。学びあっていきたいと思います。
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先日の環境セミナーでの道徳を噛み締めると、そこにまた自分の落とし穴があることに気付きます。自分の道徳心が合っているか、こういうときはこうしよう。と、すると、相手がどう思うか、社会がどう思うか、相手が自分だったら、、と軸足を社会や相手、機会に置かず、自分におくことになり、1度経験したものや決めたものが、落とし穴となっています。いつもまっさらな状態で、相手、社会を思い、その為に自分を活かすプロセス全体を道徳と捉えたいと思います。
見守ることも行為を見守る保育と呼ぶと軸足がぶれますが、同じように軸足を子どもに置いて、発達に合わせて自分を活かすプロセス全体を大切にして行きたいと思います。