炭のチカラ②

昨日、無事に合計700キロの備長炭を床下に敷き終えることができました。すでに2日目になると、床下の空気や雰囲気も澄んできているのを感じます。炭の効能は科学的にわかってきている部分もありますが、未だに解明されていないものもあります。

先人たちは炭と共に暮らしていく中で、その効果を長い年月をかけて自得していたのでしょう。昔は傷ついた動物が炭焼き小屋で傷を癒したという民間伝承も遺っています。実際に、牛や犬なども胃腸を整えるときに炭を食べているそうです。炭には水を浄化するだけではなく体内を浄化するチカラもあり、いのちに関わる様々なところで昔は活かされたようです。

私の中で現在、発酵を通して気づいたことは炭には微生物が棲んでいるということです。炭の表面を拡大して観察するとミクロ単位の孔が無数にあるそうです。その孔は縦横無尽につながっていて全てが外気に触れています。

この炭の内部にある「多孔チューブ」の表面に水や空気が通ると有害物質が吸着され、孔内にすむ無数の微生物によって分解するという仕組みです。この内部に住む微生物こそ土壌をアルカリ性にする作用があり、木炭を撒いた畑の作物が良く育つ理由とも言われています。私たちが生活しやすいように微生物たちに活躍してもらうという方法なのです。

私たちの住まいが家であるように、微生物の家は炭になります。そして炭を愛する微生物たちが私たちの人間の暮らしに共生し、自然の相乗効果を発揮するのではないかと私は推察しています。

自然農や自然養鶏の中で、水の中に炭を入れていますが生き物たちはその炭の周囲を暮らしの中心にしていきます。不思議なことですが、その炭を置いた処から発酵場になり発酵が進むのです。多様な生き物を活性化するということが発酵ですから、炭の効果は甚大なのです。

今回の夏季実践休暇で気づいたことは、「炭こそ暮らしの家」であることです。炭がある暮らしというのは、そこは豊かな生態系が発生してきた家であったということです。私たちの親祖たちもずっと火をおこし炭を焼き暮らしてきました。そしてその周りに人間たちが共生した生き物たちが集まって豊かな生態系の中で一緒にいのちをつむいできたということなのでしょう。

炭の持つ、不思議なチカラを体験できる善い御縁をいただきました。さらに炭道の達人との新たな出会いもありましたから引き続き学び直しつつ深めていきたいと思います。

 

 

  1. コメント

    700キロの炭の量が想像つきませんが、自然養鶏の発酵床作りの苦労を思い出します。ただ、あの時は小屋作りのほうが大変でそれどころではありませんでしたが、思い返してみると既に体験させて頂いていました。あれからそのままになっていましたが、今一度その意味や体験を思い返し、改めて深めていきたいと思います。

  2. コメント

    「炭」の多孔質構造が、微小生物の「住処」として最適であるということですが、これは「炭」が「場」となり、微小生物に「場」を提供していることになります。先日、「人を生かす場づくりを専門にしている人がいる」とお聞きしましたが、「場」さえあれば、生きる人もたくさんあるのでしょう。人を生かすための「場」をつくる、あるいは、自分たち自身も「場」となるという生き方も探求してみたいと思います。

  3. コメント

    「生き物たちはその炭の周囲を暮らしの中心にする」という一文から、伝統的な日本家屋にあった囲炉裏を囲む生活をイメージしました。調理をしたり暖をとったりしながら、家族との会話が弾んだり心を落ち着かせたり…と、やはりそこは暮らしの中心であり、ある意味での発酵場だったのではないかと感じました。他郷阿部家との御縁も何かが繋がっているようでじ、その場に伺えるのが益々たのしみになりました。

  4. コメント

    いつも、実践と学び、生活が離れずにセットとなっているその生き方に、尊敬と憧れを抱きます。それは、バランスがいいとかそういったことではなく、丸ごとの生き方だと感じます。丸ごとだから、機会に恵まれ、ご縁に恵まれるのだと感じます。自分自身も丸ごと分けない生き方をしたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です