「垣根」という言葉があります。これはもともと敷地を限るために設ける囲いや仕切り、それを竹や植木などで作る言葉ですが心の垣根というように間のことを言うこともあります。また組織の垣根や部門間の垣根というように、それぞれが自分の責任の範囲を決めて垣根を作ります。それらの垣根を超えて何かを言うと越権行為とみなされたり、自分の責任の範囲を超えたということになるのです。
しかしチームや協力、理念を優先する組織においてこの垣根というのは最大の障壁になっていきます。なぜなら、大きな目的や理念のためには情報共有は部門間を超えて必要であり、また組織の制限がかかっていたらオープンに皆で議論して衆知を集めて問題を解決していくことができないからです。
日本の組織や部門というのは縦の関係で成り立っています、そこから横の関係が弱くなります。実際に縦串の関係というのは、責任の範囲内が決められそこから役割を分けられています。しかしその責任の範囲内のことをやっていたら垣根は広がっていくのです。この場合の垣根は、自分の置かれている立場のことです。組織の中で自分の立場を考えてくれとばかり相手に迫っても物事が解決することがありません。御互いの立場を乗り越えて仲良くしていくには、本来の目的や理念を共有しては御互いを隔てる組織や部門の壁を超えなければならないのです。
例えば、夫婦で考えてみても子どもに何かあったとき、自分は夫の立場だからと手伝うことを制限したり、自分は妻をちゃんとやっているのだからとやることとやらないことを自分が仕分けしていたら子育てを協力することができません。子育てを一緒にするのが夫婦だからその御互いの立場の垣根を超えて協力することで本来の三方よしの家庭を築けるのです。
これは会社にも同じことが言えるし、社會に置き換えても同じことが言えます。
協力するというのは、置かれている立場、自分がやっている仕事を自分で仕分けて理解するのではなく如何に協力するかということを優先しているかということです。横の関係が強く結ばれる組織は垣根がありません。御互いの垣根を超えて協力していますから、情報共有をはじめあらゆるコミュニケーションや智慧が結集していきます。
組織や部門が垣根を超えて協力することができるなら、本来の目的や理念の実現にむけて大きく前進していくのです。
垣根を超えるのは、自分の中の立場の刷り込みを捨て去ることと地道な横串の関係の実践に由ります。一緒に取り組むということは、垣根を取り払うことであり誰がやってもいい、持ち味を活かし得意なところを伸ばすという御互いを活かし合う関係を築くということです。
そこに三方よしの発想が産まれ、みんな違ってみんないいという協力し助け合う姿に変わっていきます。ここで重要になるのは組織は縦の関係か横の関係ではなく、本来は渾然一体になっていることが何よりも大切だということです。
渾然一体に混ざり合う組織にするために、勝手な立場や勝手な部門などができないように刷り込みを取り払っていきたいと思います。これから必要となる、新たな聴福人の姿を見つめていきたいと思います。
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子どもたちの問題解決の話を聞くと大人からすると「えっ⁉︎」と思うような内容でも本人たちが納得していることに驚きを感じます。如何に協力していくか、ということも解決すること以上に自分が寄り添っているかを問われているように感じます。目指すべき、ありたい方をみんなで大事にしていきたいと思います。
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これまでの組織は「秩序」を優先し、その秩序を乱すものを排除してきました。それは、「管理」することが前提であったからでしょう。上下関係を確立し、責任範囲を明確にして、個々の責務を追及してきました。この仕組みを変えるためには、「人と数字を管理する」という発想を転換しなければなりません。「管理されることから解放される自由」ではなく、「目的達成のために自己を発揮する自由」へと、リーダーとみんなが一斉に価値観を転換する仕掛けが必要です。
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目に見えて組織の中に何か危機が訪れた時、垣根というものを越えて何とかしたいと思えるように感じますが、そこには一つは日頃の危機感の感じ方の問題があり、一つはそのような時と同じぐらい思いやりを持てているかという意識の差があるように思えます。順境な時ほど油断せず、相手の状態にかかわらず思いやれる自分になっていきたいと思います。
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もし、目の前で子どもが倒れていても、担当のクラスではないからとなったり、お客様からお困りの連絡が来ても、担当ではないからとなってしまえば、横の関係は生まれません。自分事とするには、自分の価値観や感情よりも優先する理念から考える習慣が自分には必要だと感じます。