それぞれの国にはそれぞれで築いてきた文化があります。その文化は民族の習慣として習得され、それを代々受け継いで今の子孫があるとも言えます。例えば、日本人は礼儀正しいや正直、子どものように明るく無邪気で親切な人が多いなどと海外から評されます。これも先祖代々の生き方が文化として伝承されて継承されてきたのです。
他には、ドイツ人は親切で勤勉だとか、ロシア人は忍耐強いとか、オランダ人は友好的だとか、イギリス人は紳士的だとか、中国人は地縁血縁を重んじるとか、それぞれの国民性の中に先祖代々で築き上げられた智慧が生きています。これらは伝承されてきた大切な無形の文化として脈々と受け継がれてきた生き方であり、その国民性の持ち味とも言えます。
先日、あるヨーロッパの外国人たちが今の日本の状況をこう評しているとお聞きする機会がありました。それは「日本人は、笑いながら価値のある宝をどんどん捨てていく滑稽な民族」と言っていたそうです。
最初は何のことかと思っていましたが、先祖代々受け継がれてきた大切な宝を惜しみもなく笑いながら捨てていくというのです。その大切な宝は何かと聞いたら、日本人の大切にしてきた生き方や暮らし、それまで築き上げてきた文化や智慧のことだそうです。
何でも西洋から入ってきた新しいものが価値があるとし、文明を優先するあまり古いものは不必要だと廃棄されていきます。日本の風土に沿って自然に寄り添った建造物もなくなり、それまで循環し一つのゴミも発生せずに循環した暮らしを手放し、末永く修理して活かせる自然の道具も見なくなり、御互いに助け合い一緒に結束を固かった地域の繋がりも消えていきました。
今の日本人の特徴は果たしてどのようなものか、子ども達に継承されていく文化はどのようなものなのかと感じるのです。文化の本質は、その民族の生き方でありその生き方をどのように継承していくかがその民族の魂を継承していくことになります。子ども達は環境を通して、そしてその大人たちの生き様の背中を通して先祖代々の智慧やメッセージを無言のままに受け取っていきます。その受け取ったものを基本にして、その時代時代に大切な初心が失われないように温故知新して文化を守り文明を従えて発展してきたのです。
文化を排除し、文明だけを優先して目先の利益ばかりに飛びついて何でもかんでも捨てていたら二度と取り返しのつかないことをしてしまうかもしれません。世界が一つになるとき、もっとも必要なのは民族の多様性です。それぞれの国民性の持ち味を活かして、如何に人間が目覚め御互いが仕合わせになり、地球が喜ぶような生活をするかは文化に懸っているともいえ、子々孫々の平安と平和を譲り渡していく先祖代々の真心はそこに生きているとも言えます。
真心を感じてみれば、先祖は子孫のためにと本当に自分の天命を盡し、一生懸命にいのちを今につないでくれました。私たちが子ども達の未来を案じ子どもたちのためにと今できることをやろうと思うように、先祖たちも同じようにそうやって真摯に子孫のためにその時々をより善くしてくださいました。
私たちが今、本当になすべきことは子どもたちに受け継がれていく民族の魂を守ってあげることではないかと思うのです。今一度、日本の文化とは何か、日本人とは何か、世界から何を必要とされているのか、子ども達に譲り遺していきたいものは何か、自問自答しながら子どもの志事の本質を見極めていきたいと思います。
本物を如何に遺して、本物を如何に譲っていくか、今の時代に生きる責任ある大人の一人として真摯に日々の生活を見直し、一つ一つ実践を通してお手本の一つになる様に精進し暮らしていきたいと思います。
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日本人は、昔から、「お天道様が見ている」という発想で、人として「恥ずかしいことはするな」「卑怯な振舞いはするな」「嘘をつくな」というような教えのなかで生きてきました。また、「お陰さま」「もったない」「お気のどく」という心でいろいろな物事を受け止め、あるいは「陰徳の思想」によって「感謝と思いやりの心」を磨いてきました。こういったみんなが目指すべき具体的指標を、もう一度明らかにする必要があるのではないでしょうか。
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桜を見に多くの人が集まり写真を撮ったり、座って話していたり、人を惹きつけるものがあることを感じます。同じ道でも少し前だったら寒くてわざわざ外へ出ようと思いませんが、行きたくなる理由があると体が動いてしまいます。「まだ咲かないな、きれいだな、また観たいな」と思うのは願いに近いものだと思っています。同じように子どもたちの将来を思う願いを続いていくよう、実践一つから始めていきたいと思います。
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一番初めに失ったものは何なのだろう、と考えてしまいます。何かを捨てるということは、そのものを大切にする心の方が先に廃れていたのかもしれず、そのものが大切なものだということに気づけていなかったということも考えられます。人生においても同じことで、一度失えば気づけることも取り返しがつかなくなる前には気づきたいですし、相手に対しても気づかせてあげたいと思えます。何より日々ものごとの本質をよく観て、それが何なのか何のためなのかを内省し、心を廃れさせないようにしていきたいと思います。
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以前であれば、故障した家電などは普通にそのまま捨てていましたが、理念に触れ、沢山の方々に触れるにつれて、掃除をしてから、感謝の言葉を述べてから、捨てるようになったり、または修理したり、若しくはまだ使って頂ける方へお譲りしたりと行動が変わってきていることを感じます。それは、やはり理念実践を通じて何かが変わってきているのだと感じますし、群言堂さんや様々な方々に触れるたびにその思いが強くなってきています。理念が引き寄せるご縁と実践を素直に受け止めて変化を楽しんでいきたいと思います。